野鳥の聖域である常呂能取地区に大型風車を建てないでください
野鳥の聖域である常呂能取地区に大型風車を建てないでください
北海道オホーツク地区、サロマ湖と能取湖の間の常呂能取地区丘陵に、ユーラスエナジーホールディング社(本社東京都港区)が150mの高さの風力発電用風車を10基建てる計画を進めています。
ここは、オオワシ・オジロワシ・タンチョウ・ヒシクイ(亜種ヒシクイ)・クマゲラ・オオジシギなど、希少鳥類が飛来・滞在、あるいは繁殖する場所であり、ふもとの常呂川にはサケが遡上します。バードストライク、工事に伴う土砂の流入による水質悪化、森林伐採による環境改悪の懸念が大いにあり、さらには直下の常呂地区住民からは健康不安への声が上がっているにもかかわらず、事業者は計画を推し進めようとしています。
令和2年に日本野鳥の会は本事業の環境影響評価準備書に対し、10基の風車を設置すべきでないこと、「種ごとに保全措置を検討すべきであり、複数の専門家に種ごとに予測評価の結果について意見を求めたうえで、十分な影響の回避低減が確認できなければ、事業を抜本的に見直すべきである」旨を記した意見書をユーラスエナジー社あてに提出しています。しかしその意見を反映した取り組みは今のところ確認できません。
地球温暖化防止に向けた再生可能エネルギーの利用はわが国の喫緊の課題ですが、この地に巨大風車を建てることが本当に「エコ」なのでしょうか。グローバルな温暖化防止と地域生態系の保全は、片方を追求するためにもう片方を犠牲にすべきことではないでしょう。常呂能取で犠牲を払って得られる電力は5万kW、政府が第5次エネルギー基本計画で目指す2030年度分の再生可能エネルギーによる発電量(約9312万kW)の0.05%に過ぎません。それだけのために、住民が不安を抱え世界の財産である渡り鳥が犠牲になる環境を作ってよいのでしょうか。
どうか、以上のことをご理解の上、ユーラスエナジーホールディング社が提出する本事業に関する環境影響評価書を厳しく審査し、不備を指摘し、この事業をとりやめるようご指導をお願いします。
意思決定者(宛先)
- 山口壯 環境大臣