【大学・文科省・国に】芸術系大学の芸術祭・オープンキャンパス・卒業制作展などでの迷惑行為(ギャラリーストーカー行為)への対策を求めます!

【大学・文科省・国に】芸術系大学の芸術祭・オープンキャンパス・卒業制作展などでの迷惑行為(ギャラリーストーカー行為)への対策を求めます!

開始日
2024年2月14日
現在の賛同数:1,850次の目標:2,500
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この署名で変えたいこと

 私たちは、金沢美術工芸大学、広島市立大学芸術学部、武蔵野美術大学の学生・卒業生です。それぞれが在籍する大学で、芸術祭・オープンキャンパス・卒業制作展など学外者と学生が関わる機会に発生する、深刻な迷惑行為/ギャラリーストーカー行為(性的な言動を聞かされる、長時間のつきまとい、高圧的な態度での説教、盗撮、個人情報を聞き出そうとするなど)への対策に取り組んできました。

 2023年1月、中央公論新社から猪谷千香さんの書籍『ギャラリーストーカー 美術業界を蝕む女性差別と性被害』が刊行されました。この書籍によって、美術業界内の不均衡な力関係を背景とする加害行為や搾取、そして被害の実態が、改めて明らかにされました。同様の迷惑行為による被害は、芸術系大学の芸術祭・オープンキャンパス・卒業制作展でも、確認されています。しかし、大学によって対応は大きく異なり、私たち学生が主体的に対策を行わなければならない状況が発生しています。

 率先して注意喚起を行う大学もあれば、学生が対策を講じるよう求めても大学に問題を認識してもらえないことや、学生の訴えが無視されてしまうこともあります。そのために、学生がパトロールをしたり、被害者のケアや二次被害の対応をすることも起こっています。

 大学ごとに対応が異なる状況は、安全な学生生活とともに、大学での成果を広く発表するという意欲そのものを阻害することにもつながります。私たちは、文科省・国・大学に対して、芸術祭・オープンキャンパス・卒業制作展などで発生する迷惑行為(ギャラリーストーカー行為)の実態調査と、こうした迷惑行為への対策を講じることを求めます。

 

1. 芸術系大学におけるギャラリーストーカー行為および、学生の被害の実態調査を実施することを求めます

 芸術祭・オープンキャンパス・卒業制作展など学外者と学生が関わる機会において、『毎日新聞』が報じているように、深刻な迷惑行為(ギャラリーストーカー行為)が発生しています。


「広島市立大芸術学部では、同大の教室やアトリエを会場に4年生らの作品190点以上を展示した。会期中は作品の保護や来場者の対応のため、会場に学生が待機していたが、女性の学生に対し「かわいいから(4年前から)目を付けていた」とプレゼント持参で長時間待機する▽裸の女性のような作品の作者に対し「これはあなたの願望なのかな」と言う▽男性の学生に男性器の話をする▽食品と花束を持参し、特定の学生に何度も渡そうとする▽男性の学生にバッグから取り出した靴を履かせようとし「3人くらい履いてくれた生徒がいる」と話す」(『毎日新聞』2023年3月2日 URL=https://mainichi.jp/articles/20230302/dde/014/040/002000c


 長時間のつきまといや、高圧的な態度での説教、盗撮、個人情報を聞き出そうとする、性的な言動を聞かされる……。こうした迷惑行為は大学のみならずSNSでも発生していますが、その実態の調査は学生が自主的に行っているのが現状です。大学に調査を求めてもその必要を認識してもらえず、取り合ってもらえないこともあります。教員のジェンダーバランスの偏りを背景に、被害の声が矮小化されてしまうことは、『ギャラリーストーカー』著者の猪谷千香さんも指摘しています。


「大学も率先してギャラリーストーカーに取り組んでいる様子がみられない。その理由はさまざまあるが、多くの学生たちがうったえるのが、「被害を大学の教員に伝えても、深刻さが伝わらない」ということだ。その背景には、美術業界の偏ったジェンダーバランスがある。「『表現の現場』ハラスメント白書2021」をまとめた団体「表現の現場調査団」が東京藝術大学と五美大(多摩美術大学、武蔵野美術大学、東京造形大学、日本大学芸術学部、女子美術大学)の教員と学生のジェンダーバランスを調査したところ、女子学生の割合は7割を超えていたが、教授職は男性が8割を超えるという「歪な状態」であることがわかった(「ジェンダーバランス白書2022」より)。」(猪谷千香「「ギャラリーストーカー」の被害が明るみに 「沈黙」を破った若い世代に必要な対策とは?」 弁護士ドットコムニュース 2023年12月31日 URL=https://www.bengo4.com/c_18/n_17008/


 こうした現状に鑑み、学生が被害を受けている迷惑行為(ギャラリーストーカー行為)を放置せず、実態調査を行うことを求めます。


2. 芸術系大学におけるギャラリーストーカー対策を各大学が主体的に講じることを求めます

 現状、迷惑行為(ギャラリーストーカー行為)への対策は各大学によって大きく異なります。武蔵野美術大学では、学生が自主的に対策委員会を立ち上げ、注意喚起のポスターの文案作成やデザインをつくり、現場での呼びかけを行うとともに、被害者のケアも行いました。


「10月27日からはじまった武蔵野美術大(東京都小平市)の「芸術祭」では、こうした被害を防ぐために、有志の学生が「ギャラリーストーカー対策委員会」を立ち上げた。/「展示会場では2人以上で行動すること」「見通しの悪いところでは一人にならない」など、具体的なアドバイスとともに注意を呼びかけている。」
(弁護士ドットコムニュース 2023年10月28日「美大生に執拗に迫る「ギャラリーストーカー」、武蔵美「芸術祭」で本気の対策…SNSでは「素晴らしい」と大絶賛」URL=https://www.bengo4.com/c_18/n_16686/


 しかしやはり、学生が注意喚起を行うことや、学内をパトロールしたり、被害者の対応をすることには限界があります。こうした対策は、本来、学生の安全を確保するために、大学側が率先して取り組むべきことです。武蔵野美術大学では上述の対策のため、有志学生が作品制作や学業に思うように時間を割けなくなっている現状があります。

 私たちは、大学が率先して迷惑行為(ギャラリーストーカー行為)への対策を講じることを求めます。それとともに、文科省や国が、対策の指針を決定するための検討を行うことを求めます。

 

3. 芸術系大学における迷惑行為(ギャラリーストーカー行為)が発生した場合の被害者への適切なケアと二次被害を防ぐための啓発を求めます

 『毎日新聞』は、芸術系大学での迷惑行為(ギャラリーストーカー行為)の被害を受けた学生に対して、教員が「我慢するように」といった抑圧的な言動を行った事実を報道しています。

「今回も複数の学生から不安を訴える声が上がったため、何度か教員に対策をとるよう相談したというが、学生の一人は「先生に訴えても『来場者は作品のファンなのだから』『我慢するように』と言われた」と話し、「頼れる人がいないと思うと恐怖や不安を感じる」と打ち明ける。」(『毎日新聞』2023年3月2日 URL=https://mainichi.jp/articles/20230302/dde/014/040/002000c


 こうした二次被害を防ぐための教職員への啓発と、被害を受けた学生への心理的負担を軽減するための窓口の設置を求めます。



■現場からのメッセージ

武蔵野美術大学ギャラリーストーカー対策委員会からのメッセージ

 2023年10月に行われた武蔵野美術大学の芸術祭時に、私たちは初めてギャラリーストーカー対策委員会の存在やギャラリーストーカーに対する注意喚起の発信を行いました。 以降多くの人が興味を持って話題にする事で段々と認知度が増え、現在ギャラリーストーカーという存在が世間に知れ渡っていく過程にあります。 
 そして2024年1月以降、各美大が卒業制作展を開催する中で、数々の大学がギャラリーストーカー対策を発信する流れが広まっています。これは非常に大きな前進であり、もはやギャラリーストーカーという存在は美術大学において無視できる問題ではないと認識されてきた証拠でもあります。
 ですが単純に対策を行なっていますと発信するだけでは意味がありません。実態は困難を伴い、例えば武蔵野美術大学では大学がギャラリーストーカー対策委員会の活動に協力こそすれ、実働的な負担はほぼ私たちにある現状です。
 「武蔵野美術大学は他の大学に比べると協力的でしょ?」としばしば(学内の関係者からも)言われますが、どうも違和感を覚えます。何故なら大学全体としての判断と、教授・職員一人一人の意識にはまだまだ乖離が見られるからです。 「なんとかしなければいけないとは思っているけれど、主体的に動いているかと問われるとまだまだスピード感に欠ける」というのが私個人から見た大学のスタンスです。
 それは単純に前例が無かったり、無い故にどういう対応が正しいのかすぐには判断できないという大学組織ならではのしがらみも関係している様に感じます。 芸術祭という催しそのものやギャラリーストーカー対策委員会の存在について、あくまで「学生主体の活動である」というのが武蔵野美術大学の見解です。学生主体だからという理由は果たして大学の安全管理という責務を学生に押し付ける理由になって良いものなのでしょうか?
 少なくとも芸術祭時においては学生への負担があまりにも大きすぎるように見えました。 実際に2023年の芸術祭では芸術祭執行部(学生の運営する芸術祭運営組織)の学生達が警備の根幹を担い、当時迷惑行為を行う来場者に対して直接対応を行なっていました。一つ一つの事案は学生の対応する域を超えた危険なものであったにもかかわらずです。
 大学教授・職員一人一人の意識をアップデートしていくには時間がかかる事は承知しています。ですがそれまでの間に実際に警備に当たったり、対策にのぞむ私たちの貴重な学生生活は蔑ろにされて良いものでは無いはずです。 そして何よりギャラリーストーカー問題を考える時に、これまでこの問題を放置してきた事で被害に遭い、その苦しみや傷に向き合いながら今日を生きる一人一人の人間が存在するという事を忘れないで欲しいと思います。
 これはギャラリーストーカー問題に限らず当てはまる、人間としての節度や配慮の問題ではないでしょうか。詰まる所ギャラリーストーカー問題とはコミュニケーションの問題であり、節度を持って作家と来場者が関わっていけば起こり得ない問題なのです。他人の気持ちを考えるというごく当たり前のことについて、どうか考えていただければと思います。
 そして実態調査を通して多くの方にこの問題を知って貰う事で、様々な環境で正しい理解が広まっていく事、それらが各大学が主体的に対策を講じる一助となり、健全に学業に励む事のできる環境へと変化していく事を期待します。 (ギャラリーストーカー対策委員会代表 松野有莉)

 23年度芸術祭において、ギャラリーストーカー対策委員会の一員として見回りをした際に、実際に目の前で事案が発生し、その対応にあたりました。来場者が、困惑する企画参加者をよそに執拗に話しかけている現場を見て、問題が自分達のすぐ近くに起きていることを改めて実感しました。
 問題への対策や被害にあった生徒へのケアなど、問題の理解も含め、大学側学生側共に未だ十分ではないと考えます。
 大学という場所で、また表現の場において、本来であれば傷つく必要のなかったはずの出来事で作家が道を閉ざしてしまうことのないように、この問題への対策や意見交流がより多くの場所で発展していくことを望みます。(ギャラリーストーカー対策委員会 メンバー・書記担当)

 


広島市立大学 有志の在学生・卒業生からのメッセージ

 今年度の卒展では、卒業生の方々の働きかけにより、ギャラリーストーカーやハラスメントの被害を正しく認識する学生、教員が多くなったと感じています。制作や卒展委員としての仕事もある中、学生だけで対策を講じることは限界がありますが、教員方が積極的に動いてくださったおかげで、非常に安心して卒展に臨むことができたと思います。ただ、慣れない中手探りで進めていることもあり、他の部分で学生への負担が出ていることも事実です。これが一過性のもので終わるのではなく、アップデートされ、他大学にも広まって行くことを望みます。(在学生)

 これまで学生たちは、卒業制作や卒業制作展自体の運営で多忙な中、さらに迷惑行為への対策や被害者を受けた学生のケアも担ってきました。学生が当事者として環境改善に取り組もうとすること、そのために自ら声をあげ具体的な策を講じること自体は素晴らしいのですが、これは本来大学側が担うべき部分でもあると思います。芸術を学ぶ学生たちがその成果を発表する場で不必要な不安や恐怖を感じなくて済むよう、発表の場自体がネガティブな経験を生み出さないよう、一律な制度的改善を求めます。学生の不安に寄り添い発表や学習の場をより安全なものに改善していくことは、将来にわたる文化芸術の豊かさを育むことにも繋がります。(卒業生)

 

金沢美術工芸大学 学生の創作活動に対する迷惑行為対策委員会からのメッセージ

 ギャラリーストーカーの被害は、首都圏から離れた金沢でも、年々深刻さを増しています。学生だけでできる迷惑行為対策の限界に直面しているのが現状です。これからの新たな被害を防ぐためには、大学や行政機関と連携を取って、より効力のある対策を行っていくことが必要不可欠です。悪質な迷惑行為によって、作家の未来が潰されない社会を目指すために、多くの方々のご理解とご協力を頂けることを心から願っています。


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みなさんの賛同の声を文科省に届けます。一人でも多くの方に現状を知っていただき、ご賛同いただきますよう、お願い申し上げます。

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「迷惑行為(ギャラリーストーカー行為) 対策に取り組む学生有志の会」へのお問い合わせはこちらからお願いいたします▶ https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeclVzIn_7IWeCA1jsKB5eOwlCjSWQxSTLS4UYYao-Z2IqfHA/viewform?usp=sf_link

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