改正後基準では不適格のメガソーラー開発を見逃して良いのか? 山間地では日本最大級のメガソーラー(千葉・鴨川)の認定取り消しを経済産業大臣に求めます。

改正後基準では不適格のメガソーラー開発を見逃して良いのか? 山間地では日本最大級のメガソーラー(千葉・鴨川)の認定取り消しを経済産業大臣に求めます。

開始日
2023年10月10日
現在の賛同数:17,886次の目標:25,000
今週は101人が賛同しました

この署名で変えたいこと

署名の発信者 カツマタ クニエ

一時期はエネルギー問題の救世主ともてはやされたメガソーラーですが、その後様々な問題が指摘されている中で、開発における許可基準は改正されつつあります。その中で、今もなお過去の許可基準で作られたメガソーラー建設計画が進んでいるのを皆さんご存知でしょうか?緑豊かな丘陵地に位置する南房総の鴨川で、事業地約250㏊、森林伐採面積約150㏊、約37万本の樹木を伐採し、約40万枚のパネルを設置するという全国でも類を見ない超大型のメガソーラー建設が計画されています。

 

 

 

 

 



森林を大きく改変する山間地の開発規模としては日本最大級であり、周辺環境に及ぼす影響は計り知れません。エネルギー問題の解決策の多くは、何かのトレードオフで成り立っていることは私たちも承知していますが、これほどの規模の開発を進める場所としては適地ではないと私たちは考えています。これは鴨川市だけの問題ではありません。一人でも多くの方にこの大問題を知ってもらい、声をあげていきたいです。

 

 


◇熱海の盛土による土砂災害の問題を繰り返して良いのか?


静岡県の熱海市で大型の土石流があったことは記憶に新しいでしょう。2021年伊豆山地区の逢初川で発生した大規模な土砂災害であり、災害関連死1名を含む28名が死亡し、最多時は約580人が避難、建物136棟が被害を受けました。違法な土砂投棄が原因とされていますが、盛土の上部周辺のメガソーラー建設等のために行った森林伐採による地盤の弱化が背景に指摘されています。

 


鴨川市でのメガソーラー計画の対象地は、強風化軟岩(非常に脆い土質)が多いのにも関わらず、山を最大60m削り、谷を最大80m盛土する計画となっています。土砂の移動量は1300万㎥あまり(10tダンプで220万台分)山をひっくり返して全ての谷を埋めて平らにするという土地の大改変を伴う造成工事です。雨水の吸収能力が損なわれることになり、谷埋め盛土や調節池の崩壊による土砂災害が起きることが懸念されます。

 


盛土のために谷筋に敷く暗渠管は総計6000m。直径50㎝の暗渠管は最大80m(平均20m)の盛土の土圧に耐えられるのか?暗渠管が土砂などで目詰まりして機能不全にならないか?調節池の浚渫など管理し続けられるのか?管理を怠ると土砂災害を起しかねません。

 


当然なことですが、盛土による土砂災害を2度と繰り返してはならないと思うのです。

 


◇気候変動で線状降水帯が多発するようになった今、ますます問題は深刻化


線状降水帯という言葉も昨今耳にすることが多くなりました。私たちを取り巻く環境は日々変化しています。こうした変化に対応できなくては、いくらエネルギー問題をクリアしても、安心した暮らしはやってこないと私たちは考えます。

 


2023年9月8日~9日の台風13号において線状降水帯が発生し、1時間当たり83.5ミリ、24時間あたり355.0ミリの雨量が計測され、50年確率を大きく上回りました。調節池などの排水施設の容量計算に大きく影響します。

 


計画地の最南端の山を50m切土して、標高200mに5㏊のプールを造り11,000トンの雨水を貯留するオンサイト(洪水調節池)を造る計画があります。南の斜面は「土石流危険渓流」に指定されており、計画を上回る雨量の場合、溢れた水が斜面に流出したり、斜面の崩壊につながる懸念があります。設置場所になる山頂は150m下の住宅地までおおよそ300mしか離れていません。

 


◇新基準では何が改定されたのか。


千葉県林地開発許可審査基準は、2021年4月に改正されました。鴨川のメガソーラー計画はこの基準に則っていません。

主な改正点

  • 雨水の浸透率を草地並み(流出係数0.6~0.7)を改正し、パネル設置面の地面はほとんど浸み込まないという前提(0.9~1.0)で排水路や調節池を設計すること。調節池や排水路などの排水施設の容量は1.4倍の大きさが必要になります。

  • 調節池は自然地形の最下流部に設置すること。これにより山の上に水を貯めるオンサイトは危険な設計で禁止となります。

  • 尾根部は森林を残して稜線の一体化を図ること。計画地の尾根部を全て削った切土で、谷埋め盛土をし、ほぼ平らにする土地の大改変を伴う造成計画は、根底から不適格であることを示しています。

 


◇認定時の買取価格が維持されている利権構造


これほど多くのリスクがあるにもかかわらず、なぜ開発事業者が手を引かないのでしょうか?それには大きな利権のカラクリがあります。

 この事業は、2013年度に経済産業大臣が事業認定しており、2019年4月に千葉県知事が林地開発の許可を下しています。その直後に事業者の内紛により、施工会社が撤退した後、施工会社も資金計画も決まらず、「休止届」を繰り返し提出し、今日まで工事着工には至っていません。

しかし、3月失効期限の直前に事業が売却され実質の事業者が代わりました。FIT法による買取価格、破格の1キロワット36円を維持したまま(年間40億円、20年間保証)、旧審査基準の林地開発計画で事業再開の準備をしています。現在の買取価格は1キロワットあたり9円程度が相場とされていますので、莫大な利益をうむ利権構造がここには隠されています。

 


※失効制度とは、エネルギー庁が認定しながら高い調達価格の権利を保持したまま建設、稼働が進まない案件(未稼働案件)が大量に滞留していることによって①国民負担の増大②新規開発、コストダウンが進まない③系統容量が抑えられてしまうなどの課題が顕在化したために、2022年制定され、2023年3月から施行されています。


◇森林破壊の代償


太陽光という再生可能エネルギーを利用するためにCO2を吸収する森林を破壊するのは本末転倒です。この他にも、水質悪化による農業・漁業に悪影響を及ぼすことが懸念されています。盛土を固める固化剤などにより、汚染は少なからずあるでしょう。膨大な盛土や調節池などの排水施設を未来永劫管理し続けることも大きな未来の負担です。森林は市民のみならず、県民、国民の大切な財産です。

 


これまで事業者の事情で工事着工には至りませんでした。その間に関連法令が改正整備されてきており、この地が大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設地として適地でないことを証明しています。今日の気象状況を鑑みて、経済産業大臣においては速やかに事業認定の取り消しの判断をしていただくよう求めます。

この声が届くよう、皆さんの力を貸してください。

鴨川の山と川と海を守る会一同

 

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