軍事施設化される「馬毛島」のマゲシカを守って!

軍事施設化される「馬毛島」のマゲシカを守って!

開始日
2022年4月1日
署名の宛先
内閣総理大臣、防衛大臣、環境大臣
現在の賛同数:17,437次の目標:25,000
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この署名で変えたいこと

署名の発信者 宇野 裕未

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■馬毛島という小さな「宝の島」を知っていますか?

馬毛島(まげしま)は鹿児島県にある種子島の西約12キロに浮かぶ、広さおよそ8平方キロメートルほどの小さな島です。

この島は古くから地元の漁師たちに「宝の島」と呼ばれてきました。

馬毛島は、世界的に絶滅が危惧される、アオウミガメ(絶滅危惧Ⅱ類)やアカウミガメ(絶滅危惧ⅠB類)の産卵上陸地です。また、馬毛島の沿岸部は『生物多様性の観点から重要度の高い海域』として認定されています。

そして、この島は「マゲシカ」の暮らす島でもあります。

マゲシカは、環境省により「馬毛島に住むニホンジカ」として『絶滅の恐れがある個体群』に指定され、この島独特の生態系システムの中で、密度を調整しながら個体群を維持している非常に珍しいシカです。

2021年4月KKB鹿児島放送のニュース番組内で特集されていたので、ぜひ映像もご覧ください。昨年4月の状況ですが、マゲシカの置かれた状況が大変よく分かります。

■米軍が使用する軍事施設の建設で

私は「馬毛島」のなだらかな稜線に沈む夕日を眺めながら幼少期を過ごし、この島を守りたいという思いから、2009年馬毛島対岸の種子島「よきの海水浴場」にて海の家を活用したコミュニティカフェ「Cafe Seed」の運営をスタートしました。それから10年あまり、季節ごとに夕日が沈む位置が移動していくその景色を楽しんできました。

しかし、そのような「馬毛島」がここ2年ほどで一気に様変わりしてしまいました。馬毛島に米軍の空母艦載機の離発着訓練用施設が建設される予定になったからです。

現在硫黄島で実施されている米軍の空母艦載機離着陸訓練(通称FCLP)は、午前中から夜中の3時まで行われています。それは「タッチアンドゴー」と呼ばれる、陸地を空母に見立てて実施されるパイロットのための訓練です。

硫黄島はあくまでも暫定的な訓練地であること、火山活動が活発であること、かつ空母艦載機が移駐された岩国から硫黄島が遠すぎるということで、馬毛島が「候補地」に上がりました。

この空母艦載機の離発着訓練は、爆音を伴うことからこれまで移転計画が浮上するたびに住民の反対運動により頓挫してきていたという経緯があります。天候等の要因により、硫黄島で訓練が実施できない時の措置として、三沢基地、横田基地、厚木基地、岩国基地が代替訓練地に指定されていますが、その爆音により、所管の各自治体からは、「いかなる事情があっても、実施しないように」と要請されております。

長年に渡り、各地にこれほどの負担を強いている訓練を、敢えて貴重な自然環境が残る豊かな土地、基地でも工業跡地でもなんでもない場所に、多額の税金を投入して移転させる必要があるのでしょうか?

防衛省は住民の反対運動が起こったことを踏まえ、「馬毛島自衛隊基地(仮称)」を作るという計画を発表しました。あくまでも使用者は「自衛隊」であって、「自衛隊の基地の一部」を、訓練の時だけ米軍が使用するという説明です。

しかし、2022年1月に実施された日米合同委員会(通称2プラス2)の合意文書では、米軍は自衛隊施設を自由に利用できると明言されました。そのような同盟国は、世界中を見渡してみても、日本しかありません。同じ敗戦国だったとしても、しっかりと対等な同盟を結べているのが国際社会の現状です。

現在、基地負担を強いられている周辺住民の方達の訴えや沖縄への米軍施設の偏重、そして近年強化されてきている南西諸島への自衛隊配備を考えると、日米安保条約の元での防衛政策のあり方を見直すべき時ではないでしょうか。

■世界中で社会的課題に取り組んできた私が故郷で見たもの

私は、故郷に戻る前は、国際N G Oピースボートスタッフとして、様々な国や地域の社会的課題に「我ごと」として取り組み、関わってきました。

国内では、再処理工場を抱える青森県六ヶ所村から、上関原発問題に揺れる祝島、南は辺野古への基地移設問題まで、それぞれの現場で踏ん張っている方達に「それぞれの問題は、その地域の問題ではなくて、日本全体の問題だ」と言うことを突きつけられてきていたところに、いよいよ自分が「当事者」と言う立場に置かれ、葛藤する日々を送ってきました。

2010年に種子島へ本格的にUターンしてから、2019年の馬毛島買収合意まで、「何もない島ではない」「とっても貴重な自然が残っている島」「お金には変えられない豊かさのある島」と言うことを、住む人たちに実感してほしいと、様々な取り組みを続けていました。

■小さな島の中ではなく、日本全体で考えてほしい

「反対」を掲げていた島の人たちに変化が出たのが、馬毛島の買収合意と言うニュースからでした。「国が買収したら、自分たちの好きにするだろう」「これまで辺野古の人たちがあれだけ反対運動していたのにも関わらず、国は強行したのだから、こんな種子島の人だけの反対ではどうにもできないだろう」そんな諦めの言葉を聞くようになりました。

そこに追い討ちをかけるかのように、新型コロナウイルスが猛威を振るい、他の地域と同様、様々な業種が打撃を受け、同時に特産品としてブランド化していた「安納芋」に「基腐れ(もとくされ)病」と言う病気が流行り、生産地として大打撃を受けています。

このような状況だからこそ、お金をかけてどんどん既成事実を積み上げていく国の動きに抵抗できる「島民の力」は低下していったと言えるでしょう。そのような矢先、2022年1月7日に、岸防衛大臣は、馬毛島を基地建設の「候補地」から「整備地」に決定したと発表しました。

「環境アセスメント」終了前に、国会での審議もなく、関連予算を閣議決定し、日米安全合同委員会にて「歓迎を受けた」という内容を、一方的に通知してきました。

繰り返しになりますが、地元では、長引くコロナ禍の影響により、経済への先行きが見通せない状況などから、目の前の基地建設関連事業に期待する声もありますが、その一方では、今後の訓練内容の拡大や騒音問題、昨今の国際情勢の悪化など、恒久的な軍事基地化への不安は根強く残っております。

そして、2022年2月3日に「反対」を掲げて再選を果たした現市長が、防衛大臣宛に「再編交付金への特段の配慮」を求めるなどの要望書を提出したことから、地元が合意したと報道され、より混乱する状況を招いてしまっています。

この馬毛島を取り巻く米軍再編問題は、他地域でも突きつけられていた問題でもあります。それを、この小さなエリアだけの議論で進めていいのでしょうか?

この小さな島内で、住民を「賛成」「反対」に二分し、強引なやり方で基地建設を強行しようとする、このことは「法治国家」や「地方自治」のあり方を蹂躙していると言えるでしょう。戦後の日本の歴史を見たときに、まさに「迷惑施設」を建設するときに使ってきたやり方を今も繰り返す、この状況を止めなければ、第2、第3の「馬毛島」が出てくると思います。

「国が決定したことだから」「国防だからしょうがない」のでしょうか?「沖縄への基地偏重が解消される」は本当にそうでしょうか?

馬毛島自衛隊基地の整備費は、現在約3000億円以上。加えて再編交付金に今後10年で約290億円、その後も交付金は基地訓練が実施され続ける限り続いていくものです。

今、世界は新型コロナウイルスの猛威により、人々の命だけでなく、経済活動も停滞し、大変な状況であることはご存知の通りです。国内に目を向けても、この2年間、大人はもちろん子供たちの様々な活動までも制限され、大人以上にこれ以上この負担を子供たちにかけるべきではないという声が高まっていますが、その対策もままならないままです。

さらに、国際情勢を見ても、大変な危機的状況を迎えています。これらの状況や過去の歴史を振り返っても、「軍拡」による平和の構築は大変にあやふやな危険性と隣合わせと言えます。馬毛島を取り巻く問題は今、世界が抱える生物多様性の危機や気候変動の危機、そして軍拡による終わりなき軍事競争に対して、「私たち」に様々なことを示唆しているように思います。

貴重な資源や環境を犠牲にする「国防」が本当に国民を守ってくれるのか。「防衛」と言う名の下の軍備拡張が「脅威」となるラインはどこにあるのか、明確な基準がありません。

まずは、多くの人々に、この小さな島で突きつけられていることを知って欲しいと思っています。

そして、私たちが未来世代に、どのような社会環境を残していくべきか、共に考え、議論を重ねて行けることを願い、まずは、下記の3点を求めます。

1、 国会審議を得ずに出された「整備地決定」を撤回すること。

2、 2022年度の基地建設に関する予算の執行を行わないこと。

3、 マゲシカの研究を長年続けてきた研究者を環境アセスメントの調査メンバーに加え、環境アセスメントを正しく実施すること。

 

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意思決定者(宛先)

  • 内閣総理大臣、防衛大臣、環境大臣