京都大学は霊長類研究所の解体をやめてください!
京都大学は霊長類研究所の解体をやめてください!
この署名で変えたいこと
サルとヒトの研究と自然の保全に関心のあるみなさまへ
私たちは以下の内容で、京都大学に霊長類研究所の解体計画の撤回を要望します。賛同してくださる方はサインをお願いいたします。
10月14日、地方紙や全国紙が、京都大学は附置研究機関である霊長類研究所(霊長研)の「事実上の解体」になる計画を進めていると報じました。私たちは京都大学のこの措置に反対し、霊長研の解体を撤回するよう大学に求めます。
霊長研は人間以外の霊長類の研究では世界でももっとも水準の高い研究拠点のひとつとして評価されています。霊長類学は既存の人間と動物の関係についての見方を覆し、人間の理解を深める発見と研究を積み重ねてきましたが、霊長研に集った研究者たちは、なかでも重要なサルの文化的行動や子殺し行動の発見や類人猿の言語能力や認知能力を明らかにするなど数々の成果をあげて、世界の霊長類学をリードしてきました。
また、霊長研は、これらの成果を社会に広く伝えるとともに、サルの生息地においては地域の人たちと協力しながら自然の保全にも力を尽くしてきましたし、これらの成果と活動は、京都大学の知の創造と社会的な貢献の核のひとつになってきたと、私たちは認識しています。
霊長研の解体を京都大学が決定したのは、高名な認知科学者である元所長による約11億円の研究費の不正使用が主な原因で、不正使用の研究費を国庫に返還する財源捻出のために、規模縮小と研究者の配置換えで「事実上の解体」をすると伝えられています。なお霊長研が飼育しているサルや類人猿は今のまま飼育を続けるそうです。
しかし、研究費返還のために世界的研究拠点を解体する措置は、適正とは思えません。霊長類学はなかに人類学・生態学・生理学・認知心理学・行動学・進化学・遺伝学等の分野を含み、霊長研はそれらの発展と統合、研究交流の場になってきました。霊長研の解体は霊長類学のみならずこれらの関連分野にとってもおおきな痛手になるでしょう。また、霊長類学者が牽引してきた自然保全の活動低下や飼育している霊長類の福祉の低下が懸念され、大学が社会的責任を軽視していると受け取られかねません。
21世紀に入って、日本の科学研究の水準が低下し続け、学術界や科学技術関係の省庁はその防止に苦心しています。知の創造拠点である霊長研の解体は、これに逆行すると私たちは考えます。
京都大学の執行部の方々が不正使用の研究費の返還に大変ご苦労されていることは想像に余りますが、財源を他に求め、霊長研解体の方針を見直してくださるよう、切に要望いたします。
霊長類学および関連分野の研究者有志の会
代表:杉山幸丸・連絡先:黒田末寿kurodasuehisa@yahoo.co.jp
有志: 相見満・大井徹・渡邊邦夫・佐倉統・片山一道他
意思決定者(宛先)
- 京都大学総長湊長博さま
- 京都大学理事会さま