#奨学金返せない 「奨学金」という名の債務の帳消しを求めます!

#奨学金返せない 「奨学金」という名の債務の帳消しを求めます!

開始日
2022年6月23日
署名の宛先
現在の賛同数:33,590次の目標:35,000
声を届けよう

この署名で変えたいこと

私たちは、2つのことを要求します。

①   現在貸与型奨学金を借りている人全員に対する、債務の帳消し

②   全ての人に教育の権利を実現するための、学費無償化と給付型奨学金の拡充

 日本の学生が利用する奨学金のほとんどは、日本学生支援機構(以下、J A S S O)の扱う奨学金です。しかし奨学金とは名ばかりで、J A S S Oの扱う奨学金の多くが貸与型、つまりは単なる「借金」なのです。いまでは大学生の3人に1人が、このJ A S S Oが提供する貸与型奨学金を借りています。彼らは卒業と同時に数百万の借金を抱え、社会に出ていきます。

その一方、奨学金を安定して返済できる就職口は減少しています。働く人の4割が非正規雇用で働いている現在、大学を卒業してから安定した職につける保障はどこにもありません。また「ブラック企業」が広がったことで、正社員になったとしても長時間労働やパワハラにより退職に追い込まれて返済に窮する人が増えています。

この状況を前に「学生を支援する」福祉的な役割を担うはずのJ A S S Oは救済措置を拡大するどころか、回収率を引き上げるために民間債権回収会社に委託して取り立てを強化し、滞納者を次々と裁判で訴えています。滞納者は元本に加え高利の「滞納金」を課せられ、いくら返しても元本が減らない「滞納金地獄」に陥ります。これは自己破産件数の増加をまねき、保証人になった家族や親戚にまで「自己破産の連鎖」が広がっています。

 学生や保証人の人生を無視した過酷な取り立てがこれからも続けば、若者はますます劣悪な労働に駆り立てられ、心身を壊す人が増えていくでしょう。 また、奨学金の返済は若者に結婚や子育てをためらわせる原因の一つだということが、中央労福協の調査から明らかになっています。若い世代に返済の見込みがない債務を負わせることは、この社会の将来を閉ざすことと同じなのです。

 本来、教育は誰にでも無償で提供されるべきものです。誰もが自由に勉強を続けられ、返済に追われることなく人生を歩めるようになれば、それは社会の豊かさにも繋がるはずです。この破綻した奨学金制度にNOを突きつけ、借金に追い詰められることなく教育を受けることのできる社会を私たちで作っていきましょう。

 

① 学費は倍増、仕送りは半減

 50年前と比べ、国立大学の学費は15倍の54万円、私立大学の学費は6倍の93万円にまで上昇しました。日本学生機構の調査によると、大学生が1年間生活するためにかかる費用は、授業料に生活費や交通費も加えて180〜250万円。これを家庭で補おうとすれば、年収600万円のごく「普通」の4人家族世帯であっても、生活レベルは生活保護水準にまで落ち込みます。

 このように「普通」の家庭であっても学費の捻出が困難なほど学費が高騰している一方で、仕送り額は94年から21年の間に月額およそ4万円減少しています。これに伴って学生の貧困化が進み、多くの学生が生活費のためにアルバイト漬けの生活を送っています。以上のような状況の中、奨学金を借りる人は年を追うごとに増えていきました。これに対応するために、JASSOは有利子での貸付の枠を広げてきました。

 

② 「ブラック企業」が返済困難な状況を作り出している

 こうして、多額の負債を背負った若者たちは社会へと送り出されます。しかし社会に出た若者たちは、厳しい現実に直面することになります。

 この数十年で、若者を取り巻く雇用環境は大きく変化しました。非正規雇用で働く人が4割を超え「ブラック企業」が大きな社会問題になっている現在、フルタイムで働いているのに貧困に苦しむ人や、長時間労働やパワハラにより数年で使い潰され、退職に追い込まれる人が相次いでいます。19年の日本学生機構による調査では、奨学金を延滞している人は37万人にのぼり、その約半数が年収200万円以下であるという事実が明らかになりました。月収16万円以下の生活で数百万円の借金を返済するのは、ほとんど不可能に近いと考えられます。

 私たちの相談窓口にも、若者たちから「長時間労働でうつ病を発症し退職した。奨学金を返せる目処が立たないまま、JASSOから裁判を起こされそうだ」「憧れの保育士になったが年収は150万円。生活するのに精一杯で滞納が続いている」といった切実な声が数多く寄せられています。

 日本社会では、長らく「大学を出るために多少借金しても、真面目に働けば報われる」と信じられてきました。しかし今、奨学金という負債を背負った若者たちは非正規雇用やブラック企業によって「使い捨て」にされ、返済困難な状況に追い込まれているのです。  

 

③ 借り手を「延滞金地獄」へと追い込む奨学金制度

 返済困難な過酷な労働市場が広がる中、JASSOはそれにどう対応してきたのでしょうか。「奨学金」という言葉のイメージから、多くの人が返済の手続きは穏当に行われるものと思い込んでいます。しかし実際には、JASSOは近年回収率を上げるために年々取り立てを強化し、滞納者には容赦無くペナルティを課してきました。

 返還が免除されるのは本人が死亡した時、あるいは労働力を喪失した時のみであり、基本的にはどんな事情があろうと全額返還が求められます。近年JASSOは回収率を高めるために、民間債権会社に業務を委託し、返せる見込みのない人に対してもシステマチックに取り立てを強化してきました。そこからは「学生を支援する」という福祉的な観点はうかがえません。

・若者たちを待ち受ける「延滞金地獄」

 また、延滞すると毎月の返済額に年利5%の延滞金が課されるようになり、10ヶ月を過ぎると一括返済を求められて裁判を起こされます。J A S S Oは近年取り立てを強化しており、05年に454件だった裁判所への申し立て件数は16年には9106件まで増加しました。実に1日あたり25人が裁判で訴えられている計算になります。給与の差し押さえなど強制執行に至った件数は08年度の13件から、16年度の387件にまで急増しています。それでも支払えない人に対しては、元本など全てに対して3%の延滞金が課せられます。月々の支払いは延滞金→利息→元本の順で充当されるため、借り手はいつまでたっても元本が減らずに延滞金と利息を支払い続ける「延滞金地獄」に陥ってしまいます。

・膨れ上がった借金が親戚にまで連鎖

 こうして本人が支払い困難になると、請求は保証人となった家族や親戚の元にわたります。この時も本人の収入とは無関係に原則「一括返済」が求められ、全額を用意できずにいるとその分延滞金が膨らんでいきます。実際、私たちの団体の相談窓口には、70代以上の高齢者からも「突然、親戚の奨学金の元本と延滞金を一括で返済するよう連絡が来た。年金生活ではとても払えない」という困惑の声が複数寄せられています。保証人制度を通じて火だるま式に増えていく借金が親や親戚へと渡り、自己破産の連鎖を招いているのです。「奨学金問題」は、大学進学を予定している若者だけの問題ではありません。親世代や、孫のいる高齢世帯も、保証人になってから数十年後に突然数百万円の請求書が家に届き、人生設計が狂わされる可能性があるのです。

2022年6月には、本来は半額の支払い義務しかない保証人に対し全額を請求していたとして、JASSOは裁判所から過払い金の返還を命じられました。裁判では「機構は、過払い分が不当利得と認識しながら支払いを受けた『悪意の受益者』というべきだ」​​ということが指摘されました。同じような被害に遭っていた人は全国に約2000人おり、JASSOが不当に得ていた過払金の総額は10億円に上ります。

 

④奨学金は「金融ビジネス」に利用されている

 このような過程を踏んで回収された利子や延滞金は、JASSOに投資する投資家や銀行の利益になります。JASSOは自らの事業をSDGs「質の高い教育をみんなに」に貢献する​​ものとして投資家にアピールしており、ESG投資に注目が集まる昨今、投資件数は年を追うごとに増加しています。もはや奨学金事業は一大「金融ビジネス」と化しているのです。投資家目線の事業運営が続けば、JASSOは投資家に対しより安定した利益をもたらすために、高い回収率を維持しようとするでしょう。それはますます過酷な取り立てへとJASSOを駆り立てる要因となるかもしれません。

 

⑤ 「奨学金」が社会を壊す

 学生や保証人の人生を蔑ろにする奨学金制度がこれからも続けば、若者は返済のプレッシャーから劣悪な労働に駆り立てられ、心身を壊す人が増えていくでしょう。こうして若者たちが破産に追い込まれれば、負債は数世代に渡って連鎖していきます。保証人になった数十年後に突然遠縁の親戚の債務を負わされ、財産を全て失うケースも後をたちません。

 それだけでなく、返せる見込みのない数百万円の負債を抱えた状態は若者たちを保守的にさせ、腰を据えて研究活動に勤しむ余裕や、大胆に挑戦してイノベーションを起こすだけの余裕を奪います。これは、社会全体の発展をも大きく阻害するでしょう。

 さらに奨学金の返済は若者に結婚や子育てをためらわせる原因の一つだということが、中央労福協の調査から明らかになっています。39歳以下で貸与型奨学金を利用した人のうち、返済が「結婚に影響している」と答えた人は34%、「子育てに影響している」と答えた人は30%にのぼります。奨学金制度は、少子化の要因の一つになっているといえます。

 奨学金という名の負債を負わせて若者の未来を閉ざすことは、この社会の将来を閉ざすことと同じです。「奨学金」という名の債務の帳消しを通し、私たちの手でより豊かで自由な社会を作っていきましょう。

 

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あなたの経験を聞かせてください

#奨学金返せない  のハッシュタグをつけて、ぜひSNSで自分や友人の経験をシェアしてください。奨学金を返せないのは、あなたの個人的な問題ではありません。この制度のもとで返済不可能な状況に陥っている人は数十万人います。ともに声を上げ、このシステムを変えていきましょう。

奨学金帳消しプロジェクトとは?

奨学金帳消しプロジェクトは、奨学金という名の債務を抱える若者たちが、自分たちの力でこのシステムを変えるべく立ち上げたプロジェクトです。

NPO法人POSSEやフードバンク仙台で貧困問題に取り組む大学生、奨学金を返済中の20〜30代の労働者(高校教員や外食チェーンの労働者など)が集まり、弁護士などの専門家と連携を組みながら活動しています。プロジェクトには、誰でも参加可能です。ともに奨学金問題を訴えていく仲間を募集しています。参加を希望される方は、以下のメールアドレスに、所属、名前、関心を持ったきっかけをお書きの上ご連絡ください。

メールアドレス: info@npoposse.jp (NPO法人POSSE)

 

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