<石油文明がもたらした生活を見直そう>
これまで「香害の行方」と題して4回にわたり、マイクロカプセル、マイクロプラスチック、合成香料の問題点など、現在の健康被害に加えて、今後、更なる健康や環境への悪影響が広がっていく恐れがあることをお伝えしてきました。
それ以外にも、香害の影響として、柔軟剤等に含まれるシリコーンガスが電気機器に付着して故障を招くことから、自動車のブレーキに不具合を起こす大規模リコールも起きており、命に関わる事故の可能性すらあったのです。
100年前は存在しなかった石油由来の製品に囲まれている私達。便利、快適、安価に惹かれ、あらゆる製品を使用してきました。化学繊維、プラスチック、農薬、殺虫剤、化学肥料などなど、挙げていったらきりがありません。今では使用するのが当然と思わされている、石油由来の合成洗剤、柔軟剤、除菌消臭スプレーなど、昔はそれ無しで暮らしていた物であって、必需品ではありません。
人間が地球上に作り出した合成化学物質は、簡単には体内や自然界では分解されず、健康や環境に負の影響を与えます。短期的な健康影響に関しては研究されていても、長期的な健康影響については未知の部分が多いものです。慢性毒性、環境ホルモン作用、遺伝的の働きへの影響など、ようやく目が向けられてきたところです。私達は、日々、人体実験にさらされている状態です。
既に、香害からの化学物質過敏症の発症者が増加してきていますが、それに加えて、今後は、様々な環境汚染と健康被害が拡大していき、全国的な大規模公害になることは十二分に予見されます。
これ以上の香害(=公害)の拡大を防ぐためには、柔軟剤、合成洗剤、香料入り製品などの使用をやめて、有害合成化学物質を削減していくことが大事です。
別に難しいことではありません。無意識に購入している日用品を見直して、昔ながらのナチュラル素材に囲まれた生活を送るように心がければいいのです。それが、本当のSDGsにもつながります。
香料入り製品を使用している方々は、嗅覚疲労を起こしていて、自分の放つにおいがわからないこともあり、香害への理解が進みにくいのですが、お伝えしてきたように、香害はにおいの問題にとどまりません。
香害は、においに過敏な体質な、一部の人の問題ではなく、誰もが無関係ではいられない『公害』であることを社会に広めていきましょう。