合成洗剤や柔軟剤の中に入っている、香料や消臭成分入りのマイクロカプセルは、洗濯に使われた後、どうなるのか、考えてみましょう。
<空気中へ>
衣類に付着したマイクロカプセルは、弾けるものありますが、弾けずに衣類から飛び散り、空気中に浮遊するものもあります。それをヒトや動物が吸い込むことになります。空気中を漂い、そばにある物や人に再度付着しますし、店頭で販売している食べ物にもくっつき、移香します。また、例えば、パン屋さんの衣類からマイクロカプセルが飛び散っていれば、パン種に練り込まれて、香料臭のするパンが焼き上がります。登山者の衣類から浮遊したマイクロカプセルが、地上に沈降して、水源に入ることも考えられます。
<水中へ>
洗濯時に衣類に付着しきれなかったマイクロカプセルは、排水として下水に流れます。下水道がある地域では、下水処理場での沈殿処理で、ある程度のマイクロカプセルを捕捉することができますが、フィルターの網の目を抜けて、川や海に流れ出るものもあります。東京都のように雨水も処理する合流式下水道が中心の場合、大雨が降ると、下水は何の処理もされず、そのまま川や海に流れ込みます。(東京オリンピックの時、東京湾の水質の悪さが問題になりました。)浄化槽の場合でも、マイクロカプセルは処理しきれませんから、川に流れます。(浸透式の場合は、土壌に沁み込みます。)
つまり、川や海の生物は、マイクロカプセルの浮かんでいる水中で生活しているのです。実際に、研究によると、汽水湖沼にいるシジミからマイクロカプセル由来と思われる香料成分が発見されています。食卓に上がる牡蠣、アサリ、ホンビノス貝などの貝が香料くさかったという経験をした方もいるでしょう。
深海の海底からも香料成分が検出されたという研究があります。暗黒の深海で嗅覚を頼りに生活している深海生物の生態への影響が懸念されます。においを頼りに川を遡上すると言われる鮭など、魚類の生態への影響も気になります。
水道水から香料臭を感じるという声もあります。上述のように、下流域の川では、マイクロカプセルの入った水が流れています。川から取水した原水を浄水場で消毒して水道水にする際にも、マイクロカプセルはフィルターで捕捉しきれないため、マイクロカプセルが混入した水道水になり得るのです。
マイクロカプセルの中身が、香料より有害な消臭抗菌成分の場合、摂りこんだ生物へのダメージが心配です。
<土中へ>
マイクロカプセルは、土壌も汚染しています。先ほど述べたように、下水処理場での沈殿物にはマイクロカプセルが含まれていますが、その沈殿物である下水汚泥は肥料として利用されているのです。農地に下水汚泥肥料を撒いて野菜を栽培すれば、マイクロカプセルを吸い上げ、香料臭のする野菜が育つことも考えられます。皮をむいたジャガイモやニンジンの本体部分から香料臭がしたという話を実際に耳にしています。
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香料や消臭抗菌成分を詰めたマイクロカプセルがあちこちに移動し、ヒトの体の中に入り始めています。自然はつながっていますから、環境中に放出されたものは、循環してしまうのです。
今すぐに、法律違反である、合成洗剤・柔軟剤へのマイクロカプセルの配合は、メーカーにストップしてもらわなければなりません。