現行の健康保険証を令和6(2024)年秋までに廃止し、マイナンバーカードに一本化する政府方針に見直しを求める

現行の健康保険証を令和6(2024)年秋までに廃止し、マイナンバーカードに一本化する政府方針に見直しを求める

開始日
2023年12月16日
現在の賛同数:5,143次の目標:7,500
今週は517人が賛同しました

この署名で変えたいこと

署名の発信者 伊藤 京一郎

令和5(2023) 年 12月 17日 

※以下の文案は、当初同年8月頃から筆者が所属する長崎県社会福祉会を通じて声明を出すことを想定して推敲を重ねてきたものを元にしていますが、2023年12月12日にマイナンバー情報総点検本部の会合で岸田総理大臣から改めて方針の表明がなされたことを受け、change.orgにおいて署名を集めて異議を唱える断念と決断を迫られるに至りました。また、同年月日で記載した文面も、数日を経て状況に変化が生じたことから同年12月22日に修正していることをお断りします。


本年 6 月 2 日の参議院本会議において、健康保険証を廃止し、マイナンバーカードへの一体化を含むマイナンバー法等改正法案が過半数の賛成を得て可決、成立しました。その後本年12月12日、岸田文雄内閣総理大臣はマイナンバー情報総点検本部の会合において、来秋現行の健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化する政府方針を改めて表明し、厚生労働省は同年12月21日に、来(2024)年12月2日に現在の保険証の発行を終了し、廃止する方針を決定しました。更に岸田内閣はこの方針について同年12月22日に閣議決定し、現在の保険証は一年程の延長利用の可能性を残したものの、予定通りに現在の保険証を2024年秋に廃止する決定をしました。しかしながら、わたしたちは、現行の健康保険証の廃止とマイナンバーカードへの早急な一本化に強い懸念を示し、来秋を目標とした健康保険証の廃止については方針の撤回を求めます。


国民皆保険制度の下、資格を有することを示す保険証を被保険者に届けることは、国・保険者の責務です。税と社会保障の一体改革の延長として、マイナンバーカードと現行保険証の統合については一定の理解を示しますが、マイナンバーカードの取得は義務ではありません。かつて、住民基本台帳ネットワークシステムが構築される過程で、平成18(2006)年11月に大阪高裁は市民の提訴した裁判に違憲判決を出したことがあります。平成20(2008)年3月に最高裁がこの大阪高裁判決を合憲としたため、大阪高裁判決は効力を失いましたが、この違憲判決は住基ネットワークシステムの構築が違憲性を持つと指摘したものではなく、「経済的合理性」を理由として、住基ネットワークシステムに個人情報の管理を希望しない個人の意思を否定して行政がこのシステムに組み入れることは、憲法違反であると指摘した判決でした。


しかし、最高裁による合憲判決により、この基本的な人権としての自己情報コントロール権は、一個人が侵害されたと主張しても、経済的合理性を理由に認められないことになりました。しかしながら、大阪高裁判決が示した違憲判決には、それ以外の点で住基ネットワークシステムの構築に、そもそも違憲性を認めていませんでした。同様のことがマイナンバー保険証の導入についても当てはまると考えます。

 

マイナンバー制度と類似の仕組みは諸外国でも導入されていると伝えられます。また、マイナンバー保険証を持たない個人に、資格確認証を新たに発行する政府の示した案は評価します。しかし、マイナンバーカードと保険証の統合は、本来なら資格確認証の選択肢を予め国民に提示した上で、段階的に現行保険証の廃止を目指すことが、政府の責任として求められたと考えます。これまで段階的消費税増税により、財源を確保する税と社会保障の一体改革は、自公政権下で国政選挙を挟み、当初平成27(2015)年秋に予定された増税をニ度延期した上で、令和元(2019)年秋に予定より4年遅れて実施されました。選挙で支持を得たとは言え、予定された段階的増税による財源の確保は遅れました。同様に健康保険証の廃止時期を延期することは不可能なのでしょうか。


東京保健生活協同組合は本(2023)年6月24日に「現行の健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化する政府方針に強く反対し、撤回を求める」声明を出し、そこで「憲法25条の精神に著しく反する」旨述べています。わたしたちも同様の懸念を共有します。広く国民の支持を得る努力を払うことは信託を受けた政府が果たすべき責任です。加えて憲法13条を遵守した法律の履行に努め、現行保険証の廃止後も、資格確認証とマイナンバー保険証のどちらを選択しても、個人に不利益が生じない公正な運用を求めます。


既に、マイナンバーカード保険証の導入により、多くの個人情報の漏洩も報道され、別人の個人情報が紐づけされたケースが 7300件 以上報告されて参りました。年金の受給口座の登録なども一元化が検討されていますが、本(2023)年6月17、18日に実施された 世論調査(共同通信社)では、マイナンバー制度や利用拡大に不安を感じる人は 71.6%に 上っているとの報道もあります。また本年10月27日にはマイナンバー保険証の利用は9月4.5% に留まり、 5カ月連続低下が確認された旨(共同通信社)伝えられています。(補足2023.12.24※2023年11月13日、厚生労働省は、マイナンバーカードと保険証が一体となった「マイナ保険証」の10月時点の利用率が4.49%だったと明らかにした。 ピークだった4月の6.3%から6カ月連続で低下した。補足2023.12.27※同じく同年12月27日、厚生労働省は11月時点の利用率は4.34%であったことを明らかにし、4月の6.3%から7カ月連続で低下し、患者の資格をオンラインで確認するシステムが原則義務化された4月以降で過去最低を更新したことが判明した。2024.3.19※厚生労働省は14日の社会保障審議会・医療保険部会で、2月のマイナ保険証の利用率を示した。全国の利用率は、前月から0.39ポイント増加し、4.99%だった。)

 

岸田内閣が進める来秋現行の健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化する政府方針は、広く国民の、主権者の支持を得たものとは言い難いと考えます。かつて、明治憲法下の日本では、20歳を迎えた男性を対象に明治39年頃から昭和17年まで壮丁学力調査を実施し、帝国軍人に対する臣民化教育の徹底を図り、在郷軍人名簿にそれらの個人情報が集約され、赤紙による招集を行い、日中戦争、太平洋戦へと15年に渡る戦争に国家をあげて突き進んだ過去があります。

 

個人情報のデジタル化により、マイナンバー保険証による医療従事者への必要な診療情報の提供を個人の同意に基づき図る必要性は否定しませんが、より詳細な診療情報は、マイナンバー保険証を通じてではなく、直近の主治医等による診療情報提供書によって医療従事者間で共有を図ることが、個人情報保護の観点からも、これまでの医療従事者間の経験の蓄積からも適当であると考えます。マイナンバー保険証を通じて集約された個人情報が、過去に徴兵に利用されたような過ちを繰り返さない保証は十分に担保されているとは言い難いとの懸念を払拭することはできません。マイナンバー保険証のメリットの追求を否定はしませんが、来秋を目標とした現行保険証の廃止には広く国民に納得のゆく説明が行われたとは考え難く、強く反対して現行保険証の廃止時期を延期することを求めます。

 

 

今週は517人が賛同しました
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意思決定者(宛先)