「安全な中絶・流産」の選択肢を増やしてください!

「安全な中絶・流産」の選択肢を増やしてください!

開始日
2021年9月27日
署名の宛先
厚生労働大臣 (厚生労働省 子ども家庭局、厚生労働省 医薬・生活衛生局)2人の別の宛先
現在の賛同数:70,483次の目標:75,000
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この署名で変えたいこと

署名の発信者 遠見 才希子

English

日本では年間 約15万件1日あたり約400件の人工妊娠中絶(以下、中絶)が行われています。日本で中絶手術を受けるには、自費で約10〜20万円かかり、金属製の器具で子宮内をかき出す「掻爬そうは」が行われることが少なくありません。

この掻爬法は、中絶だけでなく、胎児心拍が止まった流産に対する手術でも行われることがあるため、日本で掻爬法を経験する女性はかなりの数に上ります。流産は、全妊娠の約15%(年齢によっては約40%)に生じますが、日本では自然排出を待つか手術を受けるしか選択肢がありません。(流産手術は保険適用で約1〜3万円)

実はこのような日本の中絶・流産の状況は、国際スタンダードとかけはなれています。掻爬法は、極めてまれに子宮穿孔や不妊症などの合併症を生じるため、WHOは「時代遅れで行うべきでない」と勧告し、安全な中絶・流産セーフアボーション)として「薬剤による中絶・流産」(いわゆる経口中絶薬)もしくは「真空吸引法」を推奨しています。

また、WHOは「安全な中絶へのアクセスは女性の健康と権利を保護する」とし、「中絶は女性や医療従事者を差別やスティグマから保護するため、公共サービスまたは公的資金を受けた非営利サービスとして医療保険システムに組み込まなければならない」と提言しています。現在、約31カ国で公費でまかなわれており、中絶が無料という国もあります。

一方日本では、高額な費用を用意できなかったり、未婚であれば相手男性の同意は母体保護法上不要にも関わらず不要な同意を求められ、中絶できずに新生児遺棄につながった事件も起きています。

そこで、日本で「安全な中絶・流産」を必要とするすべての女性が、適切な情報・医療・ケアにアクセスできるようにするため、以下を要望します。

①安全で安価な「経口中絶薬」を認可し、国際的推奨に基づく運用、管理をしてください。

②人工妊娠中絶だけでなく、流産の場合でも「経口中絶薬」を選択できるようにしてください。

③時代遅れで行うべきでない「掻爬法」を、安全な「真空吸引法」に切り替えてください。

④安全な中絶へのアクセスを妨げる要因となる「高額な費用」や、本人以外の「第三者の同意」が要求される状況を改善してください。

⑤避妊法を含む中絶後ケア、偏見やスティグマを生み出さないケアや教育をしてください。

手動真空吸引法」は、金属製の器具を用いる掻爬法や電動吸引法よりも子宮に愛護的とされ、海外では1970年代から主流ですが、日本では2015年に認可され、まだ広く普及していません。

日本未承認の経口中絶薬は、海外では1988年から使用され、現在約77カ国で認可され、自己管理で安全に使用できる薬として遠隔医療を行う国も増えています。WHOの必須医薬品(*)に指定され、ミフェプリストンとミソプロストールの2剤併用が推奨され、平均価格は約740円です。2剤を服用した後、およそ1日で排出が完了することが多いですが、排出まで1〜2週間以上かかる場合もあり、女性の希望に応じて追加投与を行うなどの運用が行われています。海外ではミソプロストール単独の投与法も確立し、日本でもミソプロストールは認可されていますが、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の適応(1錠約30円)であり、適応外使用しないよう注意喚起され、中絶や流産には一般的に使用されていません。

(*必須医薬品:国民の優先すべき医療ニーズを満たすもので、手軽な価格でいつでも利用できるように意図される、安全で効果的、高品質な医薬品)

今年(2021年)4月、日本で経口中絶薬が年内にも承認申請の見通しであるという報道がありました。しかし「病院経営の観点から手術と同等の価格になる可能性がある」、「中絶完了が確認されるまで入院する」といった報道もあり、はたして、当事者の女性が利用しやすいサービスや金額になるのか、科学的根拠や国際的推奨に基づく運用が行われるのか、懸念があります。

私自身、多くの女性に掻爬法を施術してきた産婦人科医であり、掻爬法を受けた当事者でもあります。女性の身体的・精神的・社会的健康を守るために、安全な中絶・流産の選択肢を増やす必要性を痛感しています。数年前、国際学会に参加した際に「なぜ日本では、いまだに懲罰的な掻爬法を罰金のような金額で行なっているのか?」と海外の参加者から質問されました。

この問いに明確な答えを出せずにいましたが、経口中絶薬が承認申請される動きがある今こそ、国際スタンダードで安全な中絶・流産を求める声を届けることが、何周も遅れている日本の状況を大きく変えることにつながると感じています。

私たちには、”自分の体のことを自分で決められる”セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)」があります。「安全な中絶・流産」の選択肢を増やすため、みなさん一緒に声をあげましょう。ご賛同・拡散をお願いします。

キャンペーン呼びかけ人:Safe Abortion Japan Project(SAJP)代表 産婦人科医 遠見才希子

キャンペーン開始日:2021年9月28日

参考:

▼毎日新聞(2021年4月20日)経口中絶薬、国内初の承認申請へ 安全性、価格、運用…期待と課題

▼朝日新聞(2021年7月16日)いまだ掻爬する国 産婦人科医・遠見才希子さん

▼日本経済新聞(2021年8月17日)飲む中絶薬、治験で「効果」WHO「推奨」広がる女性の選択肢

▼読売新聞(2021年9月21日)「男性の同意」ないと中絶できない…相手からの連絡途絶えた未婚女性、公園のトイレで出産し遺棄

▼PRESIDENT Online(2019年9月27日)未だに「かき出す中絶」が行われている日本の謎

▼現代ビジネス× FRaU(2019年9月28日)「涙が止まらなかった」産婦人科医が実体験から伝える流産・中絶医療の現実

▼WHO "Preventing unsafe abortion"

▼WHO "Essential Medicines List Application Mifepristone–Misoprostol for Medical Abortion Table of Content"

▼FIGO "FIGO endorses the permanent adoption of telemedicine abortion services"

▼FIGO "Ethical Responsibilities in Post-abortion care"

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意思決定者(宛先)

  • 厚生労働大臣 厚生労働省 子ども家庭局、厚生労働省 医薬・生活衛生局
  • 日本産婦人科医会
  • 日本医師会、都道府県医師会