自衛隊のハラスメントを根絶してください

自衛隊のハラスメントを根絶してください

開始日
2024年1月11日
現在の賛同数:6,037次の目標:7,500
声を届けよう

この署名で変えたいこと

署名の発信者 自衛官の 人権弁護団

私たちは、これまで自衛官の方々をパワハラ、いじめ、セクハラなどから救済してきた「自衛官の人権弁護団」という弁護士の集まりです(末尾参照)。

この度の能登半島地震でも明らかになったように、自衛隊は、被害者の救済、復旧活動を担う重要な組織です。その隊員の皆さんがハラスメントで苦しむことはあってはならない。特別防衛監察で幕引きをさせず、ハラスメントの根絶を目指して、この署名活動に取り組みます。

⚫️報復が怖く、本当のことが書けなかった「特別防衛監察」

元陸上自衛隊員五ノ井里奈さんの勇気ある告発をきっかけに、自衛隊において深刻なハラスメントが頻発していること、そして組織がきちんと対処していないことを多くの人が知ることになりました。

そこで防衛大臣の指示により、防衛省はハラスメント問題について全隊員を対象とする特別防衛監察(=自衛隊で不祥事が起きた時になされる調査)を実施し、昨年8月に結果を公表しました。1325件の被害申告があり 、有識者会議による提言も含めた改善策が発表されました。

しかし、私たちのところには、「形だけの調査である」「申し出をしたが取り扱ってもらえない」「認められなかった」という声がたくさん寄せられました。また、所属部隊・性別、年齢、階級を記載しての調査なので本人の特定が容易であり、「本当のことが書けない」「報復が恐い」という声もありました。実際に、この件数は、自衛隊員が約23万人いることから考えると、実際の被害数とは比較にならないほどわずかです(一般企業で3年以内にパワハラを経験した人の割合は31.2%・令和2年度厚労省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査」)。

そして、結局、特別防衛監察への1325件の被害申告に対して、処分はわずか207件(245名)、処分を見送ったケースは1066件と8割を占め(昨年12月22日の防衛省の発表)、やはり「形だけの調査」という隊員たちの予想が残念ながら当たってしまいました。

⚫️9割が「有効ではない」と答えた現状のハラスメント防止対策

 

 

アンケート調査開始時の会見の様子。左から弁護士武井由起子、弁護士佐藤博文、弁護士角田由紀子 撮影者:榎園哲哉

 

アンケート調査開始時の会見。左から弁護士武井由起子、弁護士佐藤博文、弁護士角田由紀子 撮影者:榎園哲哉


そのような現場の声を受け、自衛隊人権弁護団が主体となり、2023年11月・12月の2ヶ月間で、ハラスメントの被害を受けたことがある自衛隊員(現・元)やハラスメント被害を見聞きした家族・知人を対象として、webアンケートを実施したところ、切実でリアルな声がたくさん寄せられました(本人・家族知人合わせて有効回答140件)。

ハラスメントの実態としてはこのような声もありました。

「部下の不祥事を幹部に相談したところ、嫌がらせが始まった。後に他の同僚に聞いたところ、自分を自殺に追い込むつもりだったらしい」(海自・男性)

「大勢の隊員の前で厳しく叱責された、理由を告げられることなく外出禁止にされた(酷い時は1年間)、繰り返し退職を申し出たことから2階級降任対象になった」(空自・男性)

「仮眠時に、上司が突然襲ってきた。その上司は他の同僚みんなにも同じことをしていると言っていた」(陸自・女性)

また、アンケートの「今のハラスメント根絶の取組がハラスメント防止に有効だと思いますか?」という問いに対し、思わないと回答した自衛官(現・元)の割合は89.2%と約9割にのぼりました。

 

 

 

 

 

 

そう思う理由として記載されていたのは以下のような声です。

「ハラスメントした人たちが昇任しているし、対策はポーズだけと思います」

「罪状の内容に関わらず、必ず階級が上の隊員が守られるようになっている。悪質なまでの隠蔽体質。私がいた基地ではレイプした隊員が居残り、被害にあった女性がそのまま放置されていた。」

「現場の幹部は全くハラスメント撲滅なんて考えていません。自分が管理職にいる間に過去のことも含め問題発覚しないかだけしか考えてないです。」

「ハラスメントの声をあげても黙殺されてきました。また、声をあげたことにより不適切に、人事評価を下げられ、給与や昇任面でも不利益を受けています。被害者の評価が下げられ、加害者が評価される」

「(ハラスメント被害を訴えたりしない)従順な者にはアメを与え(ハラスメント被害を訴える)異端者には陰険なムチを与える現況」

 これらの回答が示しているのは、声をあげた者を罰する、そして加害者・見てみぬふりをした者・被害者からの申告を適切に取り扱わなかった者を処罰しない組織文化です。実際に、特別防衛監察に申告したことを理由としての嫌がらせも複数ありました。

⚫️諸外国の取り組み「兵士の人権を守ることは軍隊を誤らせないこと」

 同じ実力組織であっても、例えばドイツの軍隊には、人権擁護の部署や軍事オンブズマン制度、兵士の労働組合があり、「兵士の人権を守ることは軍隊を誤らせないこと」と言われています。アメリカでは、例えばセクハラについては、米軍事司法統一法典において犯罪化され、特に軍の信用を失墜させるものについては重い犯罪とされています。また、アメリカ、イギリスでは民間団体や外部アドバイザーを利用したヘルプラインが活用されています。このような諸外国での取り組みを日本も参考にすべきです。アンケートには「国の税金で育てたパイロットに自ら退職を決心させる構造は、国防にとって大きな損失」という指摘もありました。

【提言】今回の能登半島地震でも再び明らかになったように自衛隊は、国防、そして災害救助を担う、非常に重要な組織です。また、国家公務員の約半数が自衛隊員など防衛省の職員でもあります。そのような人たちが、ハラスメントに遭った後、きちんと対処されず、逆に減給、処分、嫌がらせを受け、鬱になってしまったり、退職、またひどい時には自死に追い込まれるようなことがあってはなりません。

私たちは、そのようなことで苦しむ自衛官をなくす、ハラスメント撲滅を目指し、以下を提案します。

①相談から調査、措置までの解決手続を明確にし、隊員に周知すること 

 アンケートの結果では、ここに大きな問題があることがわかり、根本的な対応が必要ですが、まず早急にできることとして、苦情申立制度の活用です。自衛隊には「不法又は不当な取扱の是正その他の苦情」の救済を求める申立制度があり、調査委員会の設置、原則60日以内の調査と調査完了から30日以内の処理、処理結果と理由の通知などが定められていますが、法律上の制度ではなく、広報されず活用されていません。

 まずは、この制度を広く隊員に周知し、ハラスメント対応での積極的な運用と、ハラスメント対応にこの規範を及ぼしていくことを求めます。

②相談・調査等について第三者機関を設け、隊員に周知すること

 自衛隊でも「所属長」や「上官」がハラスメントの加害者であることが多く、それが処分や措置の決定権者であり、多くの場合、声をあげるのが難しく、対処もなされないことになります。また、加害者の上司が責任問題となることを恐れて処分しないケースもあります。また、前項の苦情処理申立制度も、申立先が「上官」であり、「上官」が加害者であったり加害に深く関係している場合には、適当ではありません。

 そこで、当該の所属部隊と切り離してハラスメントの相談・調査・指導等を行なう第三者機関を設けることを求めます。

③隊員の精神疾患や自死、退職者増とハラスメントの関係を調査し公表すること

 自衛隊では、精神疾患や退職者も増加しており、その根底にはハラスメントがあると思われます。また、今回のアンケートでも、隊員が自死したという報告が複数寄せられています。

 したがって、自衛隊は、自死発生時は必ず原因究明を行い、また、退職の理由を的確に把握し、加えて、定期的に、全隊員を対象にした実態調査を行い、このような問題について、諸分野の専門家の指導助言を受け、問題の分析と改善対策、啓蒙を行ない、防衛白書等で公表し、広く市民に共有することを求めます。

④苦情処理申立及び懲戒処分申立について弁護士の代理を認めること

自衛隊は、懲戒処分や苦情処理申立について、隊員が弁護士を代理人に部隊と交渉することを認めていません。しかし、組織や国を相手にする問題であり、事実の調査や法的判断、それを正しい手続で行わせることを、その隊員一人に求めるのは困難です。そこで、一般職公務員と同様に、弁護士を代理人にする権利を認め、被害者救済を進めることを求めます。

 自衛隊には、このような申立をした場合に、不利益取り扱いをされることがあり、告発した人が懲戒処分をされてしまうことすら報告されています。よって、申立者だけではなく、被疑者・懲戒処分の対象となる人にも、同様に弁護士を代理人にする権利を認めるべきです。

⚫️今後のアクション
 上記アンケートを取りまとめ、分析、検討をして、こちらの署名とともに、防衛省・自衛隊さらには政府・国会に提出して、有効な防止策が取られるよう働きかけをしていきます。署名がたくさん集まれば、防衛省・自衛隊も無視できず、より実行力のある働きかけが可能となります。ぜひお力ぞえをお願いします!

自衛官の人権弁護団 ホームページ
https://jieikan-jinken.com

<ご参考>
自衛隊のハラスメント被害と組織の対応に関するアンケート

実施主体: 自衛官の人権弁護団・全国ネットワ-ク

協  力: 自衛官の人権弁護団・北海道  陸自・未成年隊員いじめ自殺国賠訴訟(札幌地裁)弁護団)  陸自・東北方面隊自殺事件(3件/岩手県、宮城県)弁護団  空自・現職自衛官セクハラ国賠訴訟(東京地裁)弁護団  防衛大・いじめ人権裁判(横浜地裁)弁護団  海自・「あけぼの」いじめ自殺国賠訴訟(長崎地裁)弁護団  沖縄セクハラ事件弁護団  現役自衛官セクハラ国賠訴訟支援クローバーの会(特別協力)

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