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シリーズ:香害の行方(3)香害は環境問題 マイクロカプセルはマイクロプラスチック

「香害をなくす議員の会」 「香害をなくす連絡会」「カナリア・ネットワーク全国」
Japan
Dec 23, 2023

<合成化学物質とは>

 この100年足らずのうちに、人類は、主に石油を原料として、十数万種類もの合成化学物質を地球上に新たに生み出しました。元々地球上に無かった化学物質に、生物や自然は対応していません。新しい合成化学物質を利用、つまり食べて分解し、元々地球上にある物質の形にして、自然の循環の中に戻してくれる生物は、まだ地球上には進化していないのです。逆に、生物がそれを摂取してしまうと、分解するために体に負担がかかり、毒として作用したり、ホルモンを攪乱し、長期的に有害になったりすることがあります。ただし、合成化学物質の医薬品からは、恩恵を受けている面もあります。しかし、基本的に、合成化学物質というものは、健康や環境に負の影響を与えうるものなのです。

 最近、海洋プラスチックが話題となり、環境問題に関心を抱く方も増えていると思います。プラスチックはもちろん石油由来の合成化学物質です。合成洗剤・柔軟剤の主要成分である合成界面活性剤、マイクロカプセル、香料、消臭抗菌成分なども、ほぼ全てが石油由来の合成化学物質です。

そして、柔軟剤等に使われるマイクロカプセルの多くはプラスチック製で、「マイクロカプセルはマイクロプラスチックである」ことを環境省も認めています。つまり、マイクロプラスチックで懸念される問題は、すべてマイクロカプセルにも関わってくるのです。

<マイクロプラスチックの問題点>

 海洋プラスチック汚染の例として、山のようなポリ袋がお腹に入ったクジラ、色とりどりのプラスチック片を食べていた海鳥、鼻にストローが刺さったウミガメの写真を見た人も多いでしょう。プラスチックの誤食による生物への影響はよく知られています。しかし、もっと怖いのは、プラスチックは、有害化学物質を吸着することと、プラスチックの添加剤が溶け出すことなのです。順に見ていきましょう。

 マイクロプラスチックは5mm以下のサイズです。人工芝やタイヤゴム片、漁網など、大きなプラスチックが劣化で砕けて小片になる場合と、マイクロカプセルやマイクロビーズのように、初めから5mm以下のサイズのものがあります。化学繊維から発するマイクロファイバーもマイクロプラスチックです。

 マイクロプラスチックは、空気中を漂うものや、地表に落ちて雨水で流され、海洋マイクロプラスチックになるもの、海洋中の大きなプラスチックが砕けてマイクロプラスチックになるものもあります。そして、この海洋マイクロプラスチックは、波しぶきなどで舞い上がることで、大気中マイクロプラスチックになることもわかってきています。マイクロプラスチックが自然環境の中で循環しているのです。

 さて、マイクロプラスチックが体に入っても、便と一緒に排出されるから大丈夫と考えている方もいるでしょう。そういうケースもありますが、すでに、ヒトの肺、血液、心臓、胎盤、母乳などからマイクロプラスチックが発見されています。空気と一緒に吸い込んだり、食べ物と一緒に口から入ったものが腸で吸収されたりして血中に入り、人体内に留まっているのです。体は異物である微粒子を排除しようとするため、免疫機能への悪影響が考えられます。また、酸化ストレスと相俟って炎症をおこし、腫瘍の形成にもつながりうるほか、マイクロプラスチックに吸着した病原体や汚染物質が体内で放出される可能性もあるのです。

自然界の生物においてもマイクロプラスチック汚染が進んでいて、海鳥や魚、ツバメなど野鳥の肺からも、マイクロプラスチックが発見されています。

 大気中に舞うマイクロプラスチックは、ピレネー山脈、富士山頂、最近では、雲の中からも発見され、気候変動への影響まで懸念されています。また、プラスチックの雨が地上に降り注ぐことで、水源や土壌汚染をし、更に生体に取り込まれる可能性もあります。詳細は、こちらの早稲田大学の大河内博教授の研究報告でご覧いただけます。

https://www.waseda.jp/top/news/92923

 先に述べた、「プラスチックが有害化学物質を吸着することと、プラスチックの添加剤が溶け出すこと」に関しては、環境汚染化学、海洋マイクロプラスチック研究の第一人者である東京農工大学の高田秀重教授が、以下の記事内で詳しく説明なさっています。ぜひお目通しをお願いします。

https://www.greenpeace.org/japan/campaigns/story/2021/01/21/49932/

https://www.greenpeace.org/japan/campaigns/story/2023/06/15/63383/

 このように、マイクロプラスチックは、ヒトや生物に計り知れない悪影響を及ぼしかねないのです。いや、記事中の海鳥の事例のように、すでに悪影響は現れてきています。プラスチックの使用自体を減らす重要性がご理解できるでしょう。

 メーカーは、回収不能なマイクロカプセルというマイクロプラスチックを合成洗剤や柔軟剤に配合するのを止めるべきです。環境汚染を招いていることは明白です。SDGを謳っているメーカーなのですから、即刻、愚行を改めてもらいたいものです。 

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