<合成香料>
合成香料は、3000種類を超える香料原料の中から、数十〜数百種類を混ぜ合わせて、有機溶剤を添加して作る複合化学物質です。石油から香料を合成できるようになり普及したことで、柔軟剤のような日用品にも多く使用されるようになりました。日本香料工業会の「香料統計」によると、香料生産料は、ここ10数年で約2倍になっています。香料の中には、発がん性が指摘されているものや、ホルモンをかく乱するもの、接触性アレルギーを引き起こす可能性があるようなものがあり、EUでは一部の香料成分の表示義務付けをしていますが、日本では詳しい成分の表示義務がなく、「香料」とだけ記載すればよいことになっています。
<環境ホルモン(内分泌かく乱物質)>
添加剤「フタル酸エステル類」は、プラスチックを柔らかくするための「可塑剤」として使用されており、海のプラごみからも、添加剤が魚に蓄積し、生物濃縮を経て、人にも入ってくることが問題になっています。このフタル酸エステル類は、「合成香料」にも、香りを保つための「保留剤」としてよく使用されている添加剤です。フタル酸エステル類は、「環境ホルモン(内分泌かく乱物質)」として知られています。体の様々な機能を調節するホルモンの情報伝達をかく乱する働きをしてしまい、大量でなくても、ごく微量でも、男女の生殖機能に影響し、次世代や次々世代にまで影響する可能性があります。そのため、子どもの玩具には使用が規制されていますが、日用品や香料への使用は規制されておらず、室内環境中ではハウスダスト(ほこり)に吸着して、繰り返し吸い込んでしまっています。
企業の中には、フタル酸エステル類の使用を懸念する動きはありますが、残念ながら全く廃止にはいたっていないのが現状です。
<ホルモンへの影響>
フタル酸エステル類は、男性ホルモンを阻害して、精子数の減少といった生殖に悪影響を与えたり、女性ホルモンに偽装して、本来とは違う場所にタンパク質が作られてしまい、子宮内膜症、乳がん、といったホルモン系の病気をおこすことがわかっています。EUでは、フタル酸エステル類を規制することで、「毎年2000人の男児の性的不能を防ぐ」取り組みを始めたほど、人類を脅かすほど深刻な問題なのです。
https://echa.europa.eu/hot-topics/phthalates
また、フタル酸エステル類以外にも、環境ホルモン(内分泌かく乱物質)作用のある化学物質が日用品に使われており、ADHD(発達障害)、IQ低下、肥満、アレルギーなど、様々な障害を起こしてしまうことがわかっています。
<マイクロカプセル香料の規制を>
環境ホルモン(内分泌かく乱物質)の曝露を減らすには、プラスチックの使用を減らしたり、なるべく、化学物質を避ける生活を心がけたいものですが、現在のように、柔軟剤や合成洗剤、芳香消臭剤などに、マイクロカプセル香料が使われていては、自分は使用していなくても、他人からの曝露を避けることができません。メーカーが、製品そのものに、合成香料やマイクロカプセルをやめてもらうしかないのです。