地域公共交通の危機打開 タクシー労働者に食える賃金の保障を!

地域公共交通の危機打開 タクシー労働者に食える賃金の保障を!

開始日
2023年2月28日
署名活動成功!
861人の賛同者により、成功へ導かれました!

この署名で変えたいこと

署名の発信者 自交 総連

 働いていても生活ができないと、タクシー労働者の離職が止まりません!  それに伴い営業している車両数も減少し、時間や場所によってはタクシーが利用しづらくなっている地域が発生しています。

 

「労働者の生活保障、地域公共交通の維持を求める署名」にご協力を

国会請願署名

 いま、地域公共交通としてのタクシーの役割が果たしきれない状況が各地で進行しています。タクシー労働者は、人々の生活にとって必要不可欠な役割を果たして働いていますが、他のエッセンシャルワーカーと比べても賃金は非常に低く、生活できる賃金が得られないため、全国的に年齢を問わず離職が続いています。このままでは、住民の自由な移動を保障する地域公共交通を維持することさえ困難な状況が発生しかねません。                

 タクシー労働者のくらしはもはや限界で、生きていくために「食える賃金を保障しろ」と大きく叫ばざるを得ません。私たち(タクシー労働者を組織する労働組合、自交総連)は、タクシー労働者の生活保障と安心・安全が守れる地域公共交通の維持を求める運動にとりくんでいます。趣旨をご理解いただき署名にご協力をお願い致します。

全国のタクシー運転者数の推移

 

1 地域公共交通を維持し、持続可能にするには

(1)コロナ禍でいっそう深刻化した地域公共交通の危機

 コロナ禍によって、以前から脆弱な問題点を抱えていた地域公共交通は、存続の危機に陥っています。そのことは2021年5月28日に閣議決定された第2次「交通政策基本計画」でも以下のように指摘されています。

 「地域公共交通は、人口減少等の影響により、輸送需要の縮小、運転者不足等の厳しい経営環境に置かれている。全国の約7割の一般路線バス事業者及び地域鉄道事業者において事業収支が赤字であり、国・地方公共団体の補助や、貸切バス・高速バス事業その他の事業の利益により補填することでサービス提供を継続してきたが、経営に行き詰まる例も見られる。また、乗合バス・タクシー等の運転業務に従事する人々の労働環境は、全産業と比べ、労働時間は長く、年間所得額は低くなっており、人手不足・高齢化は年々深刻化している。このため、事業収支が黒字であっても、サービスの維持・確保が困難になっている場合もある。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響により、旅客の輸送需要が更に減少している。交通事業が独立採算制を前提として存続することはこれまでにも増して困難となっており、このままでは、あらゆる地域において、路線の廃止・撤退が雪崩を打つ『交通崩壊』が起きかねない」

 タクシーは、鉄道、バスとともに地域公共交通の一翼を担い、ラストワンマイルの乗り物とも位置付けられ、自然災害時でも地域の最後の足になる公共交通機関です。しかしいま、利用者が安心して、乗りたい時に乗れない状況となっています。タクシーを含め、地域にとって安心・安全がしっかりと守れる適切な交通体系を作り上げていく制度を緊急に再構築する必要があります。

(2)タクシーは高齢化社会に重要な交通手段

 「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」(22年6月17日施行)では、「公共交通とは、地域住民の日常生活や社会生活における移動または観光旅客その他当該地域を来訪する者の移動のための交通手段として利用される公共交通機関をいう」と定義されています。地域公共交通は持続可能な地域づくりのための重要な資源といえます。ところが、地域を担う公共交通は、経営面から見ると危機的な状況にあるものが多く、放置すれば破綻したり撤退したりする企業が多数発生してしまいます。                                         

 高齢化社会にあって、免許返納者をはじめ地域住民の足を守るため、タクシーの役割は、ますます重要になってきています。公共交通の利便性が高まれば、高齢者の外出機会も増え、健康が増進し、就労機会が増え、医療費や社会保障費など社会全体の費用が軽減されるという「クロスセクターベネフィット効果」(ある部門で取られた行動が、他部門に利益をもたらす)があると分析もされています。

(3)危機打開には財政措置が不可欠

 地域公共交通の危機を打開するために、第2次「交通政策基本計画」は、「従来型の商業的手法に加え、公助、共助、自助など、あらゆる手法を合理的かつ柔軟に組み合わせ、まちづくり政策と連携しつつ地域モビリティ全体を将来的な人口態様の変化を見据えた形で再構築すること」としています。地域公共交通の維持・再興のためには、その根本に、積極的な財政措置すなわち大胆な税金の投入をする以外に方法はありません。そのことは、国土交通省が前記のなかで、あえて「公助、共助、自助」という順序で記述していることからも分かります。運賃収入のみでは運行費用を賄えない路線バスは、行政からの補助金等の公的負担で維持されていますが、決して十分ではありません。乗合タクシーなども含めて、大規模な助成、財政措置が求められています。

 地域の生活機能を維持するうえで、タクシーは重要な役割を果たす交通手段です。地方ではバスの代替として乗合タクシーが活用され、小学生の登下校輸送を担っている事例もあります。

 これまで、過疎地の輸送や福祉輸送については、バス・タクシー事業によって提供されない場合には、市町村、NPO法人等が自家用車を用いて有償で輸送する自家用有償旅客運送制度が運用されてきました。しかしこれは、やむを得ない場合の措置で、本来は、道路運送法でより厳格な安全規制がかけられているバス・タクシー事業が輸送を担った方が安全です。   

 地域公共交通が廃止されることとなると、これまで公共交通が担ってきた役割を代替施策として実施する必要が出てきて、廃止前よりもかえって行政コストが増加してしまうことも考えられます。クロスセクター効果で考えると、地域公共交通への補助金などは「交通分野における単なる赤字補填」ではなく、「地域を支える効率的な支出」であるといえます。

 

2 「タクシー労働者に食える賃金を保障しろ」署名にとりくむ趣旨

(1)コロナ危機と物価高騰で生活できない

 21年度のタクシー運転者の年収は、コロナ危機で減った20年度よりさらに下がり全国平均で248万5700円となっています。全産業労働者の平均年収(495万円)と比較すると246万円の格差となりました(厚生労働省調べ)。さらに22年10月には消費者物価指数が40年8か月ぶりに3.6%も上昇し諸物価の高騰が止まらないなか、タクシー労働者の生活はいっそう深刻になっています。

◎タクシー労働者の賃金は全産業の半分、最低賃金以下も

 運転者が足りず、地方では雨天や繁忙期などタクシーを使いときに利用できないケースが発生しており、移動の自由を確保するべき地域公共交通としてのタクシーの役割が果たしきれていません。とくにタクシーを必要とする体の不自由な方、病気療養中の人、高齢者、妊産婦らにとって憂慮すべき事態となってしまいます。

 自交総連は、この事態を打開するため、全国的な重点課題として、タクシー労働者の生活保障と地域公共交通の維持を求める運動にとりくんでいます。本署名を集め、政府・国土交通省へ緊急の特別対策を要請します。

 また各地方で運賃改定がすすむなかで、労働条件の改善が求められるところ、逆に賃下げを押し付ける事業者もいます。そのような事業者は社会的に包囲し、運輸局の認可責任を問うとともに強い指導を求めます。タクシー運転者に対しては、食える賃金が保障されるよう、国の施策として支援する措置を求める運動を全国で展開しています。

 本署名はタクシー労働者、広範な人々を対象に3万筆を目標にとりくんでいます。オンライン署名も活用して運動を拡げていき、会期中の国会へ提出していきます。

 

3 タクシー労働者の生活実態 

(1)生活実態

 タクシー労働者の賃金は歩合制賃金のため、売上によって変動します。コロナ禍で営業収入が激減し「月給が数万円しかない」「生活できない」という悲鳴が多くの職場で上がっています。               

 タクシー労働者は、各地方の地域別最低賃金ギリギリの賃金となっており、最低賃金法違反も多数発生しています。所定内給与の時間額と最低賃金との乖離率が15%未満の地方は15地方にのぼり、これらの地方では相当数の労働者が最低賃金以下で働いていると想定されます。この間、政府の雇用調整助成金や休業手当を活用し何とか生活を維持してきました。緊急小口資金など公的資金の借入も約4割の労働者が利用していますが、「返済の目途が立たない」という声が上がるなど、もはや猶予できない状況に陥っています。

 こうした深刻な事態を打開するためにも国・地方自治体は、事業者への支援で経営を成り立たせるとともに、タクシー労働者を救済する直接的な支援措置を中心とした緊急措置など特別な手立てを取ることが必要です。

(2) 労働者がいなくなり、タクシーの役割を果たせなくなる

 自交総連は、社会的水準の労働条件の獲得という要求を掲げて運動をすすめてきました。しかし、規制緩和がすすめられ、02年の新道路運送法施行により需給調整が撤廃されて以降、賃金が大きく減少しました。09年のタクシー適正化・活性化特措法の施行による特定地域・準特定地域の指定などで若干の是正がなされましたが、労働条件の改善で安心・安全を担保するという根本問題を解決するには至っていません。

 コロナ禍で在宅ワーク等が増え、外食需要の減少が続き、タクシーの需要は落ち込み、タクシー労働者の賃金は、他のエッセンシャルワーカーとの比較でも一番の低賃金となっています。タクシーの役割は、21年4月の全視協(全日本視覚障碍者協議会)との懇談で、視覚障がい者から「乗り換えなしで目的地まで直接行けるので、便利で頼りにしている」というご意見もいただいているように、なくてはならない交通手段です。

 タクシー運転者が夢と希望の持てる魅力ある職業となり、若い労働者が入ってくるような業界にならなければ、持続可能な地域公共交通の役割が果たせません。現在、労働者の減少で営業できる車両台数が少なくなり、雨天や繁忙期など以外でも使いたい時にタクシーが利用できないとの声も出るなど、必要性、緊急性で利用されることの多いタクシーの役割が果たせない状況も発生しています。

 全国のタクシー運転者は12年には34万人いました。コロナが流行する前の20年には26万人でしたが、21年には24万人と2万人も減少しました。地方では必要な人員が確保できず、地域公共交通としての役割を損なう事態となっています。

4 タクシー労働者の労働条件改善は待ったなし

1)事業者の姿勢は

 地域公共交通機関の独立採算原則は、もはや限界に達しています。政府には、持続可能な社会を構築するうえで、すべての責務を民間に押し付けるのではなく、国民の「移動権」を確立するために、公助として事業が存続できる経済的支援の拡充が求められます。

 コロナ禍の影響を受けて事業経営が厳しいからと労働者に犠牲を転嫁し、賃金引き下げで乗り切ろうとする事業者が存在することも見逃せません。そのような愚行に走らせないためにも、タクシー事業者に対して、燃料価格激変緩和対策の補助や配車アプリやEV車両導入費といった活性化策だけでなく、緊急措置としてコロナ危機以降の減収分の補填など直接的な支援措置を政府が取ることが重要です。

(2)全国70の運賃ブロックで運賃改定が進んでいます

 現在、全国的全国的に運賃改定に向けた動きがすすめられています。全国70の運賃ブロックで要請されており、既に8ブロックで11%~14%程度の改定率で実施されています。

◎行政の強い指導が求められる

① 国交省は「運賃改定は労働環境の改善」と公表

 国交省は、労働条件を改善する運賃改定と明言し、東京特別区・武三地区の運賃改定のプレスリリースで関東運輸局は「~サービスの向上や乗務員の労働環境改善のための運賃改定~」と公表しました。

 東京と特別区・武三地区の運賃改定に向けた内閣府・公共料金等調査会の取りまとめでは「労働環境の改善に適切に反映されているかについて、継続的に事業者の監視を行うべき」とまとめられています。

 国交省は、改定増収率14.24%のうち8%が労働条件改善に充当すると公表するなど、労働条件改善につなげる運賃改定であることを示しました。

② 事業者に「社会的公約」をまもらせる

 労働条件改善のための運賃改定にもかかわらず、賃下げを押し付ける事業者が散見されています。このような事業者の考えを改めさせ、利用者との社会的公約である改定趣旨を守らせ、賃金増、労働条件改善を果たさなければ、タクシー労働者の離職は止まりません。

 自交総連は「運賃上げて、賃金引き下げ」を許さない取り組みを進めています。タクシー車両があっても運転者がいなければ地域公共交通としてタクシーの役割を果たせないことは、現状が示しています。

 タクシー労働者の労働条件改善は待ったなしです。国交省は、「今回の運賃改定で運転者負担を撤廃してもらうのは当然で、事業者の資質」と述べています。迅速かつ強力な是正指導を求める運動をすすめています。

(3)「現場のタクシー労働者」の声(自交総連春闘アンケート)

 現場のタクシー労働者からは、悲鳴に近い叫びが届いています。コロナ危機以来、生活困窮により緊急小口資金等の公的資金の借入を利用しているか否かの質問には、37%が「利用している」と答え、借入の返済は可能か尋ねたところ「厳しい」が22%、「わからない」が37%、「不可能」が6%という結果となりました。

 自由設問で切実な声が寄せられています

  • 〇最近買い物に行って物価高騰を実感している。この先どうなるか不安         
  • 〇苦しい。助けて~、もう死にたいです。                                                         
  • 〇今の状態では若い人たちが入ってくるのが不可能なので5年先が不安
  • ○タクシー運転手の最低賃金保障。                        
  • 〇庶民に寄り添った政治を求める。                            
  • 〇緊急小口資金の返済をのばしてほしい。                   
  • 〇物価高騰と並行して賃金も上昇するべきだが、どの業種も連動していない。このままでは労働意欲の低下につながり、日本全体が活気のない閉塞感に満ちた社会になっていく恐れがある。                                   
  • 〇物価高騰に伴い、もう少し生活がしやすい対策を考えてほしい。収入が増えないなかで、出費ばかりで負担が大きい。

 

5 Q&A いまタクシーと地域公共交通に必要なことは?

Q1 タクシーはどんな役割を果たしているのですか?

A 鉄道、路線バス、タクシーは公共交通です。鉄道、路線バスが線の動きに対して、タクシーは面の移動を支えるドアツードアの乗り物です。また深夜も運行し24時間国民の生活を支えています。バスや鉄道には乗りにくい障がい者にとってはなくてはならない交通手段です。

Q2 タクシー労働者の賃金は高い?低い?どうですか。

A 21年度のタクシー労働者の全国平均の賃金は年収249万円で全産業平均より246万円も低くなっています。(厚労省「賃金センサス」による)。  お客さんが利用したキャッシュレス決済の手数料を運転者が負担するなど、非常識な慣行が残っている会社もあります。

Q3 タクシーの歩合制賃金とはどんなものですか?

A 賃金は、売上に応じた歩合給が中心です。固定給はあっても最低賃金程度で、ないところも多く、歩合給は売上が低ければ極端に低くなります。残業手当が支払われない会社もあります。運転者が賃金を得るためには、一定の売上を確保する必要があり、そのためにはタクシー台数の需給調整が重要となっています。

Q4 タクシー運転者がいなくなったらどうなりますか?

A 労働条件の悪さからタクシー運転者の離職が止まりません。タクシー会社がタクシー車両を保有していても、運転する運転者がいなければ、タクシーは動かず、役割である国民の移動を確保できなくなります。駅を降りてタクシーがなかったら、荷物をたくさん持っている人、体が不自由な人など移動に困ることになります。

Q5 タクシーには補助金が出ていますか?

A 地域で行政と連携して運行している乗合タクシーには補助金が出ていますが、全国で年間30億円程度で、全く足りていません。運賃の障がい者割引、免許返納者割引などは、すべて会社の負担で、公的な補助金はありません。そのため、割引分を労働者から引く酷い会社もあります。

Q6 公共交通がない地域では、どうしているのですか?

A 交通空白地には自家用有償旅客運送がありますが、これはバス・タクシー事業が成り立たない地域で、市町村やNPOが自家用車で提供する運送サービスです。あくまで限定的、例外的に認められている運送方法で、運転者は二種免許を持たないボランティアの高齢者が多くなっています。例外的な措置ゆえに、安全管理の質がタクシーと比べ緩いのが特徴で、安心・安全が確保できず、安定性・持続性も懸念が残ります。補助金などで正規のタクシーが営業できる環境を作ることが必要です。 

署名活動成功!

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